学会発表

ミラドライ後の再手術について

第45回日本美容外科学会総会(JSAPS:形成外科専門医にて構成されている美容外科学会:2022年9月22日、23日に京王プラザホテル札幌にて)にて「腋臭症にて他院ミラドライ施術後、不満足症例に対し剪徐法を施行した治療経験」という演題にて学会発表をおこないました。発表した内容を記載させていただきます。


当院ではミラドライは行っていませんが、以前より他院にてミラドライ施術後、不満足症例が散見されました。当院にて腋臭症の診断後、これらの患者に剪除法を行うことで、どの程度腋臭が改善できるのか疑問でした。そこでVAS(Visual Analogue Scale)を用いて術後の改善度を評価してみました。
対象は2017年12月~2021年10月までに他院にてミラドライのみ施術後、当院に受診した患者数34名のうち剪除法を行った21例

21例の内訳です。

  • 男性7名 女性14名
  • 年齢18~37歳(平均27.3歳±5.96)
  • 剪除法術後来院期間18~358日(平均95日±81.1)
  • 剪除法術後来院回数5回~13回(平均8.7回±4.2)
  • 出身:東京12名 神奈川3名 埼玉2名 千葉1名 茨城1名 大阪1名 アメリカ1名
  • 前医ミラドライから当院にて剪徐法を行うまでの期間5~76ケ月(平均27.7ケ月±24.2)
  • ミラドライを過去に3回以上受けた人0名、2回は3名、1回は18名

剪除法を行った21症例の患者が評価するミラドライ後の腋臭の変化です。


もともとの臭いが10だとするとミラドライ後にどの程度になったかというアンケートを行いました。変化なしが最も多く10人、約半分になったという方が4名いました。半分以下という方はいませんでした。また悪くなったという方もいませんでした。

以下に代表的な症例を供覧します。

症例1:20歳 男性 ミラドライを1回約2年前に施行しました。

マイクロ波と思われる、熱損傷後の瘢痕を認めました。


通常の剪除法を行いました。術中と術直後です。


剪除法を行うと一般的にこの程度まで皮膚が薄くなります。


摘出した組織をHE染色しました(×4)。組織学的には多数のアポクリン腺と毛根組織及び周囲の脂肪組織が見られます。


症例2:22歳 女性 ミラドライ1回約1年前に施術しました。

かなりのアポクリン腺の残存が認められました。


術中と術直後です

症例3:23歳 男性 ミラドライ1回約2年前に施行されました。

瘢痕もあり、flapも薄く、あまりアポクリン腺が摘出できないかと思われました。


通常の剪除法を行いました。


摘出した組織をHE染色しました(×4)。多数のアポクリン腺が認められました。


剪除法後は通常この程度まで薄くなります。


VASテストです。スケールを10cmとり現時点でどの程度臭いがあるのかを計測し評価しました。


ほとんど方で改善が見られました。結果の悪い2名は2割程度しか改善が見られませんでした。この2名ともミラドライを2回受けていました。またいずれも術前のアンケートでミラドライの効果をもともとの臭いが10とすると半分程度にへっていると答えていました。また特記すべき合併症はありませんでした。


術後1ケ月ではn=20でもともと10だった臭いが術後平均1.34 標準偏差2.41 術後3ケ月ではn=14で平均1.07 標準偏差2.08でした。術後6ケ月以降は4人しか来院されずそれぞれ0 3.6 0.7 0.6でした。治療効果の高い人ほど長期通院する傾向がみられたため術後6ケ月は参考程度のデータとなります。


結語です。ミラドライ施術後であっても、剪除法によって腋臭が改善される可能性が示唆されました。また、ミラドライを複数回受けていたり、ミラドライの効果が比較的高かった症例は、剪除法を行っても満足度の変化が少ない可能性もあると考えられました。

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