脂肪腫とは、皮下に発生するやわらかい腫瘤(しゅりゅう)のことで、良性の成熟した脂肪細胞で構成されています。簡単にいうと、脂肪の“できもの”です。皮下に発生するできものの中で最も発生頻度が高いです。幼少期から発生し、徐々に発育していくといわれております。外観は、やわらかいボールが皮膚の下にあるかのようにプクッと膨らむ事が多いです。体のどこにでもできますが、背部、肩部、頚部、上肢、下肢、などに発生するケースが多く、手部、足部の発生は比較的稀です。
脂肪腫の大きさは1cmくらいのものからコブシ大、なかには15cm程度まで大きくなるものもあります。中年の方に多い症状ですが、20~30代の患者さんも珍しくありません。男女比はありません。脂肪腫は自然消失することがなく、大きくなることもあります。大きいものだと摘出するのに手間がかかることもあるため、ある程度の大きさの脂肪腫は手術で摘出することをおすすめしています。
ほとんどの症例で、日帰りでの手術が可能ですが、脂肪腫と皮下脂肪の境界がはっきりしていなかったり、筋肉の中に脂肪腫が入り込んだりしている場合は、入院して全身麻酔で摘出するケースもあります。脂肪腫が小さいうちに摘出すれば、傷も小さくて済みます。またあるクリニックでは、どんな大きい脂肪腫も切開は1cm以下、30分以内で摘出するとかかれているクリニックもありますが、大きいものでは不可能です。そのようなクリニックでは、軟部組織のなかを撹拌するだけで全く取り切れていない症例もあります。しっかりとした手術でないと再発の確率が上がるだけではなく、できものの周囲が癒着し再手術が難しくなります。同様に脂肪吸引法でも摘出することはできず、切開による摘出が唯一の治療法です。
脂肪腫の簡略した図
被膜で覆われていることが多く、被膜内で摘出することができれば容易に摘出できます。被膜がなく境界が不明瞭な場合、筋層内に入り込んでいる場合などは、手こずることもあります。
原因は不明で因果関係ははっきりしないものの、遺伝的に発生するケースもあります。
一般的な脂肪腫です。被膜を有していることが多いです。つるっと取れることが多く比較的小さい切開で取れます。
つまむと痛みを伴うこともあります。体中の至る所に多発することもあります。背部、腹部、上下肢に好発します。比較的小さな切開で取れます。
筋肉内にあることが多いです。比較的深部に存在します。後頚部に好発し、被膜が不明瞭な場合もあります。やや取りづらいです。ある程度の切開をくわえないと完全には摘出できません。
悪性の腫瘍で軟部肉腫の一種です。希少がんであり、かなり稀なガンです。軟部肉腫は10万人に2~3人といわれ、そのうちの10~20%前後は脂肪肉腫であるという報告もあります。特に5cm以上のものは手術にて摘出し、病理精査することをおすすめしています。
ほとんどの症例で、触診、エコーで診断がつきます。深部に達している場合(エコーで届かない)、または大きなものの場合はMRI精査を行い場合もあります。
プローベの圧で変形する辺縁平滑な楕円形腫瘤を認めます。
周囲組織とほぼ同じエコーレベルの内部に線状高エコーが確認できるのが特徴的です
比較的深部にあり筋膜接していました。
大きいものや深部に達しているようなものはMRI精査が必要です。
12cm大の脂肪腫です
脂肪細胞からなる組織で、脂肪細胞はいずれも成熟しています。
実際の摘出物
術前写真
デザインです。小さい切開での摘出を心がけています。
注射麻酔です。
麻酔が終了した状態です。
メスにて切開をおこないます。
丁寧に止血をするため出血がほとんどありません。
モスキートペアンにて愛護的に剥離します。
少しずつ取り出していきます。
多房性です。
一部筋層にも入っていましたが、丁寧に止血をおこなえばほとんど出血しません。
摘出しました。かなり小さい傷できれいに取れているのがわかると思います。
縫合です。まずは真皮縫合をおこないます。今回はエチコン社の5-0PDSを用いています(最高級糸です)。
真皮縫合終了時です。中縫いで、この程度きれいに縫合しなければなりません。。
表皮をさらに細い糸で縫合します。
終了です。今回は小さなドレーンを挿入しています。。
手術前の状態と、術中/取り出したできものです。
表在性で境界明瞭であれば比較的小切開で摘出可能です。
もちろん縫合もきれいです。
脂肪種の発生部位と性質にもよりますが12㎝を超える巨大脂肪種も条件次第では日帰り手術可能です。
形成外科の中では日本で最も大きな医局である昭和大学形成外科教室出身の形成外科専門医を中心に、第一線で活躍してきた医師による標準治療に合致した安全な治療が受けることができます。数多くの経験から個々にあった、最適な治療法を提示できます
できもの外来のページへ平日は曜日によっては夜19時30分までの受け付け可能です。
医院名 | 日本橋形成外科・皮フ科・美容外科 |
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