多汗症の概要をご紹介します。体を動かしたり気温が高かったりすると、汗をかくことは普通のことです。しかし、汗の量が尋常ではない状態を「多汗症」と呼びます。体の一部分だけに異常に汗をかく状態は「局所性多汗症」、全身で異常に汗をかく場合は「全身性多汗症」です。また、基礎疾患などが原因で大量の汗をかくケースや、特に基礎疾患を患っていないのに汗の量が尋常ではないケースは原発性多汗症といいます。

全身性多汗症の原因は、神経系の病気治療中や内分泌の疾患によるものが一般的です。例えば、更年期障害になると、ほてりなどの症状から大量の汗をかくようになります。糖尿病や甲状腺の疾患で治療が必要な場合、初期の頃に多汗症状が現れやすいのが特徴です。

多汗症は汗の量が尋常ではないため、日常生活で困ってしまう場面が多く、症状が重いと汗がしたたり落ちるほどです。大量の汗は、わきがなどの不快な臭いを誘発したり、皮膚がめくれて剥がれたりするおそれもあります。

多汗症の治療を受ける前に、本当に多汗症なのかセルフチェックすることもおすすめです。チェックポイントとして以下が挙げられます。

• 緊張するシーンに必ず異常なほど汗が出る
• 半年以上、原因不明の汗が大量に出ている
• 常に手のひらや足裏、わきの下などが汗でじっとりしている
• 汗がしたたり落ちるのでタオルを持ち歩いており、日常生活がままならない
• 季節問わず、洋服のわき部分に汗染みができている
• 両わきから出る汗の量に変わりはない
• 指先の血色がよくない
• 汗の量が多過ぎて1日に何度も着替える
• 寝ているときに大量の汗をかくことはない

上記のチェックポイントに関して、どれくらい当てはまっているかの判断は以下で確認できます。

• これらに該当するが、特に気になるわけではない
• 時々気になるが我慢はできる程度
• 何とか耐えている感じ
• とにかく耐えられないし、我慢できない

早めに治療が必要な重症度はCとDです。質問に当てはまり、さらにCやDの状態なら、治療を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。

多汗症の治療として、2020年11月に新しい薬が登場しました。「エクロックゲル」という塗り薬で保険が適用されます。エクロックゲルは、交感神経から排出されるアセチルコリンに働きかけるものです。アセチルコリンの分泌によって汗が出ます。エクロックゲルを塗布することで、アセチルコリンの指示を止めて、大量の汗を抑えます。また、1日1回塗るだけなので、わずらわしさもありません。薬を用いた多汗症の治療が気になる場合は、医療機関に相談することをおすすめします。

多汗症は精神的に追い詰められてしまうほど、重症になるケースもあります。ストレスを回避するためにも、多汗症の症状に思い当たる節がある場合は医療機関を受診しましょう。多汗症でお悩みの場合は、日本橋形成外科・皮フ科・美容外科までご相談ください。患者様のお悩みに合わせて、最適な治療法をご提案させていただきます。