当院ではミラドライは行っていませんが、以前より他院にてミラドライ施術後、不満足症例が散見されました。当院にて腋臭症の診断後、これらの患者に剪除法を行うことで、どの程度腋臭が改善できるのか疑問でした。そこでVAS(Visual Analogue Scale)を用いて術後の改善度を評価してみました。
対象は2017年12月~2021年10月までに他院にてミラドライのみ施術後、当院に受診した患者数34名のうち剪除法を行った21例
21例の内訳です。
剪除法を行った21症例の患者が評価するミラドライ後の腋臭の変化です。
もともとの臭いが10だとするとミラドライ後にどの程度になったかというアンケートを行いました。変化なしが最も多く10人、約半分になったという方が4名いました。半分以下という方はいませんでした。また悪くなったという方もいませんでした。
以下に代表的な症例を供覧します。
通常の剪除法を行いました。術中と術直後です。
剪除法を行うと一般的にこの程度まで皮膚が薄くなります。
摘出した組織をHE染色しました(×4)。組織学的には多数のアポクリン腺と毛根組織及び周囲の脂肪組織が見られます。
術中と術直後です
通常の剪除法を行いました。
摘出した組織をHE染色しました(×4)。多数のアポクリン腺が認められました。
剪除法後は通常この程度まで薄くなります。
ほとんど方で改善が見られました。結果の悪い2名は2割程度しか改善が見られませんでした。この2名ともミラドライを2回受けていました。またいずれも術前のアンケートでミラドライの効果をもともとの臭いが10とすると半分程度にへっていると答えていました。また特記すべき合併症はありませんでした。
術後1ケ月ではn=20でもともと10だった臭いが術後平均1.34 標準偏差2.41 術後3ケ月ではn=14で平均1.07 標準偏差2.08でした。術後6ケ月以降は4人しか来院されずそれぞれ0 3.6 0.7 0.6でした。治療効果の高い人ほど長期通院する傾向がみられたため術後6ケ月は参考程度のデータとなります。
結語です。ミラドライ施術後であっても、剪除法によって腋臭が改善される可能性が示唆されました。また、ミラドライを複数回受けていたり、ミラドライの効果が比較的高かった症例は、剪除法を行っても満足度の変化が少ない可能性もあると考えられました。